ディスプレイをつくるのにまず初めにすることはテーマの設定です。
今回のブログでは「ディスプレイテーマ」の考え方をまとめました。
お店が魅力的な空間に変わるためのヒントをお届けします。
株式会社エトワール海渡は創業122年の歴史をもつ総合卸商社です。
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ディスプレイとは
はっきり示す、訴える、伝達するなどの意味を持ち、日本語では展示という意味でよく使われます。お客様の購買意欲を刺激する販売戦術の1つとして、売り場を演出するための技術です。
よくディスプレイについて話すると、「自分はセンスがないから出来ない」という声を聞きますが、これは正しくありません。もちろんセンスという目に見えない能力がプラスされていれば尚いいですが、ディスプレイは手段の一つであり、演出のやり方はいくらでもあります。
例えば、商品の並べ方を工夫したり、想像力を膨らませる写真を置いたり、魅力を伝えるコメントPOPをつけたり、その商品を良く見せるための演出方法をいろいろ試しましょう。
ディスプレイテーマの考え方
ディスプレイテーマを考えるときは、4W2Hを意識して決めていきます。
4W2H | 目的 | 計画 | 具体的な項目 |
---|---|---|---|
When | いつ | 商品の提案時期 | 季節・月日 |
Where | どこで | 商品の提案場所 | ステージ、ウィンドウ、テーブル |
Who | 誰が | ターゲット顧客 | 性別、年齢層、タイプ |
What | 何を | 提案商品 | テーマ商品、コーディネート商品 |
How Many | どれくらい | 数量 | アイテム数、サイズ数、カラー数 |
How To | どのように | 表現方法 | 構成、什器、演出小物、テーマカラー、照明、POP |
どのようなテーマ設定をするか悩んだ時にはこちらを参考に詳細をつめていきましょう。
when(いつ)
いつディスプレイを行うのか?
タイミングや期間を慎重に選定することで、ディスプレイの効果を最大限に引き出すことができます。
季節や時期に合わせる
- 季節に関連するテーマ:
- 春:花見、卒業と入学、春のファッションなど
- 夏:ビーチ、バケーション、夏祭り、花火など
- 秋:ハロウィン、紅葉、収穫祭など
- 冬:クリスマス、冬のスポーツ、新年など
特定のイベントや祝日に合わせる
- 特定のイベント:
- バレンタインデー:ギフト、チョコレート、恋愛をテーマにしたディスプレイ
- 母の日・父の日:感謝の気持ちを表すギフトやメッセージ
- ハロウィン:コスチューム、カボチャ、怖い装飾
- クリスマス:ツリー、プレゼント、サンタクロース
トレンドや話題に合わせる
- 時事的なテーマ:
- 新製品の発売:新しいガジェットや商品を紹介するディスプレイ
- 映画の公開:話題の映画に関連するアイテムやキャラクターの展示
- スポーツイベント:オリンピックやワールドカップに関連するディスプレイ
特定のキャンペーンやプロモーションに合わせる
- 販売促進キャンペーン:
- セール期間:ブラックフライデー、サマーセール、年末セールなど
- 新製品発表:新商品の展示とプロモーション
- 周年記念:企業やブランドの創立記念イベント
具体例:秋の紅葉をテーマにしたディスプレイ
季節に関連するテーマ:
秋の紅葉をテーマに選定。色鮮やかな葉っぱや自然の美しさを強調。
特定のイベントや祝日に合わせる:
ハロウィンとも連動させることで、秋のイベント全体をカバー。
秋の旅行やイベントに参加するタイミングに合わせてディスプレイを設置。
トレンドや話題に合わせる:
秋の旅行シーズンに関連したプロモーション。紅葉狩りに関連する商品やサービスを展示。
特定のキャンペーンやプロモーションに合わせる:
秋の新作商品や限定商品の展示。特に、秋限定のスイーツや飲料など。
Where(どこで)
どこでディスプレイするのか?
ディスプレイを設置する場所によって、テーマやデザインのアプローチが大きく変わることがあります。
物理的な場所の特性
- 屋内か屋外か:
- 屋内:天候の影響を受けにくく、精巧なディスプレイが可能
- 屋外:広いスペースを活かして大型のディスプレイが可能だが、天候や環境条件を考慮する必要がある
- 場所のサイズ:
- 大きなスペース:大型のディスプレイやインタラクティブな要素を取り入れる
- 小さなスペース:コンパクトで視覚的にインパクトのあるデザインにする
設置場所のコンテキスト
- 商業施設:
- ショッピングモール:季節やセールに合わせたテーマ。顧客の流れを意識した配置
- ストアのウィンドウディスプレイ:通行人の目を引くデザイン。新商品やセールのアピール
- 公共施設:
- 図書館や美術館:教育的・文化的なテーマ。展示内容がその施設の目的と調和するようにする
- 駅や空港:多くの人々が通過する場所なので、視覚的に分かりやすくインパクトのあるテーマ
目的と対象観客
- ターゲットオーディエンス:
- 家族連れが多い場所:子供向けのキャラクターやインタラクティブな要素を取り入れる
- ビジネスパーソンが多い場所:プロフェッショナルでスタイリッシュなテーマ
周囲の環境
- 周囲の装飾やデザインと調和:
- 周囲のインテリアやエクステリアに合わせたカラースキームやデザイン
- 例えば、自然豊かな場所ならナチュラルなテーマ、モダンなビル内ならスタイリッシュなテーマ
- 視認性とアクセス:
- 遠くからでも見える位置に設置する場合は、大胆で目立つデザイン
- 近くで細部まで見てもらうことを意識する場合は、細かいディテールにこだわったデザイン
具体例:商業施設内のディスプレイ
物理的な場所の特性:
屋内のショッピングモール内のスペースに設置
広いスペースを利用して大型のディスプレイを設置
設置場所のコンテキスト:
ショッピングモールの中央広場に設置
季節のセールや新商品の紹介をテーマにする
目的と対象観客:
家族連れや若いカップルが多いので、明るく楽しいテーマ
新商品の展示や体験コーナーを設ける
周囲の環境:
ショッピングモールのデザインと調和するカラースキームを選ぶ
高い位置にもディスプレイ要素を配置し、遠くからも目立つようにする
Who(誰が)
誰がディスプレイを観るのか?
ターゲットオーディエンスの特性やニーズに基づいてテーマを選定することで、より効果的で魅力的なディスプレイを作ることができます。
ターゲットオーディエンスの特定
- 年齢層:
- 子供、若者、成人、高齢者など
⇒例えば、子供向けならカラフルで遊び心のあるデザイン、若者向けならトレンディでスタイリッシュなデザイン
- 子供、若者、成人、高齢者など
- 性別:
- 男性、女性、ジェンダーニュートラルなど
⇒例えば、男性向けならシンプルで力強いデザイン、女性向けなら優雅で洗練されたデザイン
- 男性、女性、ジェンダーニュートラルなど
- 興味・関心:
- 趣味、ライフスタイル、職業など
⇒例えば、アウトドア好きなら自然をテーマに、テクノロジー好きなら最新ガジェットをテーマに
- 趣味、ライフスタイル、職業など
消費者の購買行動
- 購買目的:
- 自分用、プレゼント用、特定の用途など
⇒例えば、プレゼント用ならギフトラッピングやメッセージカードのアイディアを取り入れる
- 自分用、プレゼント用、特定の用途など
- 購買頻度:
- リピーター、新規顧客、一回限りの購入者など
⇒例えば、新規顧客を引き込むためのプロモーションをテーマにする
- リピーター、新規顧客、一回限りの購入者など
顧客セグメントとペルソナ
- ペルソナの設定:
- 具体的な顧客像を設定する
⇒例えば、「30代のキャリアウーマン、都会暮らし、健康志向でヨガが趣味」といった詳細なペルソナを設定し、その人物に響くテーマを選ぶ
- 具体的な顧客像を設定する
具体例:ショッピングモール内のディスプレイ
ターゲットオーディエンスの特定:
家族連れ、特に子供がいる家庭をターゲットに設定
年齢層は30~40代の親と、5~12歳の子供
消費者の購買行動:
家族で楽しめるイベントやプロモーションをテーマに設定
プレゼント用のおもちゃやゲームの展示
顧客セグメントとペルソナ:
ペルソナ:都市部に住む35歳の母親、健康志向で子供たちの教育にも関心が高い
テーマ:エデュケーショナルな要素を取り入れた「学びと遊びの融合」
What(何を)
何をディスプレイするのか?
「What(何を)」を考えることは、ディスプレイの具体的な内容やメッセージを明確にするための重要なステップです。
ディスプレイの目的を明確にする
- プロモーション:
- 新商品の発売、セールやキャンペーンの告知
- 例:新作ファッションコレクションの紹介
- 情報提供:
- 製品の特徴や使い方の説明、イベントの詳細
- 例:スマートホームデバイスの使い方紹介
- ブランドの認知度向上:
- ブランドの歴史やビジョンの紹介、企業の社会的責任(CSR)のアピール
- 例:エコフレンドリーな商品の展示
ディスプレイするアイテムやコンテンツを決定する
- 商品や製品:
- 特定の商品、商品のラインナップ、コレクションなど
- 例:秋冬コレクションの服やアクセサリー
- ビジュアルコンテンツ:
- 写真、イラスト、ビデオ、グラフィックデザイン
- 例:新商品の魅力を伝えるビデオや写真
テーマやコンセプトの設定
- シーズンやイベントに関連するテーマ:
- 季節、祝日、特定のイベント
- 例:クリスマスシーズンのギフトアイデア展示
- ストーリーテリング:
- ストーリーやメッセージを伝えるためのテーマ
- 例:環境保護をテーマにしたエコプロダクトの展示
製品やテーマの特徴を強調する
- ユニークな特徴や利点:
- 製品の特別な機能、メリット、競合他社との差別化ポイント
- 例:耐水性のあるアウトドアジャケットの展示
- 品質や素材:
- 高品質な素材、手作り、エコフレンドリーな素材など
- 例:オーガニックコットンを使用した衣料品の展示
具体例:クリスマスギフトのディスプレイ
ディスプレイの目的:
クリスマスギフトのプロモーション
ディスプレイするアイテムやコンテンツ:
おすすめのギフトアイテム、ラッピング用品、クリスマスカード
ギフトアイデアを紹介するビジュアルコンテンツ
テーマやコンセプトの設定:
「心温まるクリスマス」をテーマに、暖かみのある色調とデザイン
ストーリーテリング要素として、家族や友人との温かいエピソードを紹介
製品やテーマの特徴を強調する:
ギフトアイテムのユニークな特徴、品質、パーソナライズオプションを強調
オーガニック素材やエコフレンドリーな包装などの特徴をアピール
How many(どれくらい)
どれくらいの量をディスプレイする?
ディスプレイの規模や展示するアイテムの数を決定するための重要な要素です。このステップを通じて、ディスプレイのボリュームやバランスを計画し、視覚的に効果的なディスプレイを作り上げることができます。
展示するアイテムの数の決定
- 商品の数:
- 展示する雑貨アイテムの具体的な数を決定する。テーマに関連するアイテムを適切な数に絞る。
- 例:季節に合わせた20点の雑貨アイテム(小物、インテリア、文房具など)
- ビジュアルコンテンツの数:
- 使用する写真、ポスター、装飾品の数を決定する。
- 例:4枚の季節感を表現するポスター、ディスプレイの装飾品10点
ディスプレイの規模とスペースの利用
- スペースの大きさ:
- 使用可能なスペースのサイズに応じて、展示アイテムの数を調整する。
- 例:小型の店舗内のディスプレイ棚
- アイテムの配置とバランス:
- アイテムの配置を計画し、全体のバランスを考慮する。
- 例:中央に主要アイテムを配置し、周囲に関連アイテムをバランス良く配置
具体例:秋の雑貨ディスプレイ
展示するアイテムの数:
秋に関連する雑貨アイテムを20点選定し展示
(例:ランプ、キャンドルホルダー、フェイクパンプキン、ブランケット、マグカップなど)
ビジュアルコンテンツの数:
秋の風景や季節感を表現する4枚のポスター
秋の装飾品10点(例:フェイクの落ち葉ガーランド、ミニかぼちゃ)
スペースの大きさ:
店舗内の小型ディスプレイ棚を使用し、アイテムの配置を計画
アイテムの配置とバランス:
中央に目を引く大型のインテリアアイテム(例:大きなフェイクパンプキン)を配置
周囲に他の19点のアイテムをバランス良く配置(例:キャンドルホルダーを左右対称に配置)
How to(どのように)
どのようにディスプレイを行うのか?
「How to(どのように)」を考慮することは、具体的な実行計画や方法を確立するために重要です。これにより、テーマの選定から実施までのプロセスがスムーズに進み、効果的なディスプレイが実現できます。
テーマの選定プロセス
- リサーチ:
- 市場調査やトレンド分析を行い、現在の消費者の関心を把握する
- 例:SNSや業界レポートを参照して、流行しているテーマや人気アイテムを特定する
- 顧客の声を反映:
- アンケートやフィードバックを通じて、顧客が求めているテーマを把握する
- 例:過去の顧客アンケートを分析し、人気のあったテーマを再利用する
具体的なテーマ設定
- テーマの明確化:
- 選定したテーマを具体的なコンセプトに落とし込む
- 例:選定したテーマ「春の花」を具体化し、「花見」「新学期」「春のファッション」などのサブテーマを設定する
- ストーリーテリングの構築:
- テーマに沿ったストーリーを作り、ディスプレイ全体に一貫性を持たせる
- 例:「春の花見」をテーマにしたストーリーで、花見の準備から当日の楽しみ方までを表現する
デザインと配置計画
- デザインスケッチ:
- ディスプレイの全体像をスケッチやデジタルツールで描き、ビジュアルプランを作成する
- 例:主要なアイテムの配置や色使いを示すデザイン図を作成
- レイアウトの決定:
- 実際のスペースに合わせたレイアウトを決定し、各アイテムの配置場所を具体的に計画する
- 例:メインアイテムを中心に配置し、補助アイテムを周囲に配置してバランスを取る
実行とフィードバック
- 設置作業:
- 計画に基づいてディスプレイを実際に設置する
- 例:ディスプレイアイテムの設置、照明や音響の設定
- 評価と改善:
- ディスプレイの効果を評価し、必要に応じて改善を行う
- 例:顧客の反応や売上データを分析し、次回のディスプレイに反映する
具体例:夏のリフレッシュをテーマにした雑貨店のディスプレイ
テーマの選定プロセス:
リサーチ:夏の最新トレンドを調査し、リフレッシュやアウトドアが人気であることを確認。「夏のリフレッシュ」をテーマに設定し、ビーチ、ガーデニング、ホームデコレーションのサブテーマを決定。
顧客の声:過去のアンケートで、夏のアウトドア雑貨やデコレーションが人気であることを確認。
具体的なテーマ設定:
テーマの明確化:「夏のリフレッシュ」を具体化し、ビーチ雑貨、ガーデニングアイテム、夏のホームデコレーションを展示。
ストーリーテリング:ビーチでのリラックスタイムや庭でのリフレッシュをテーマにしたストーリーを作成。
デザインと配置計画:
デザインスケッチ:ビーチの風景を背景に、ガーデニングエリアとホームデコレーションエリアをデザイン。
レイアウトの決定:中央にビーチ雑貨を配置し、左右にガーデニングアイテムとホームデコレーションを配置。
実行とフィードバック:
設置作業:ビーチアイテム、ガーデニングツール、ホームデコレーションアイテムを展示し、夏の雰囲気を演出。
評価と改善:顧客の反応を観察し、人気アイテムの追加や配置の微調整を行う。
最後に4W2Hを組み合わせて企画したディスプレイテーマ例の詳細をまとめてみました。
4W2Hを使うことで、ディスプレイのテーマを詳細に計画し、具体的な行動計画を立てることができます。
春の花々のディスプレイ
When:
3月中旬から4月下旬、桜の開花シーズン
Where:
店舗入り口、大型テーブル1台を使用
Who:
家族連れや観光客、地元の住民
What:
春の花々、特に桜をテーマにしたディスプレイ
How many:
花柄の雑貨アイテムを30点選定(クッション・マグカップ・ポーチと文房具・キャンドル等)、
周囲に6点の造花・シャボンフラワー商品を配置
How to:
本物の花や造花、写真パネル、インタラクティブな展示を使用し、色彩豊かで視覚的に引きつける配置にする
店舗ディスプレイのお困りごとはエトワール海渡にお任せください
エトワール海渡の馬喰町ショールームでは、商品カテゴリ―を超えたディスプレイの編集提案を行っています。是非一度、ショールームに足を運んでいただき、直接ディスプレイをご覧ください。
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